閉業を迎えて(中編)

(前編から続く)

そんな私でも、と書きましたのは
なんと言いましょうか?
感情をすこし失くしたといいましょうか
「せつない」ですとか「さみしい」ですとか
「うれしい」ですとか「かなしい」ですとか
そういう生きているうえで大切な感情が
希薄になってしまった件がありまして
まあそれについては、
また別の機会があればとして。

ともあれ、そんな感情が希薄な私がですね
お客さまに満ち満ちた店内が
営業終了時間が近づくにつれ
ひと組、またひと組、
ひとり、ふたりとお帰りになられ
最後のお客さまが帰られると
(もしかしたら最後に飛び込みでくるんじゃあないか?)
とか、いつもだったらさくさく閉めるくせに
ひと息ついて、待ったりして。
そんな気配がないことを感じるとやっと

私「じゃあのれん下げてきまーす」
スタッフ「はあーい」

とやりとりあって、外壁の看板を
準備中に裏返します。

のれんの下に立って上を見て
のれん竿に棒を引っ掛けて
のれんを外したそのときに
突然ギューッと
心が締め付けられちゃって
目頭鼻頭を熱くしちゃったりして

(らしくないぞ!私)とか
(稚心を捨てろ!)とか

また奮いたたせちゃったりして
店内に戻りますが
今度はうまく喋れなくなっちゃったり
本当、困ったモンです。

また長くなってきちゃったので後編へ続く

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